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自己資金ってどんなお金のこと?
無担保・無保証人の「新創業融資制度」の自己資金の要件は
「事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業資金の3分の1以上の自己資金を確認できる方」
となっています。
これは読み替えれば、自己資金の2倍まで融資を受けることが可能だということになります。(ただし、融資の上限は1000万円)
いずれにしても一定額の自己資金が必要になります。
自己資金の2倍も必要ないという場合でも、自己資金を多く用意していれば融資の審査上良い影響を与えます。
自己資金の比率が高ければ高いほうがいいということになります。
ここまで理解すると、次に「この自己資金というものは、どんなお金のことをいうのか?」という疑問が出てくると思います。
国民生活金融公庫が考える自己資金というのは、わたしの経験上、
「返済不要なお金」
のことを指していると考えられます。
ちょっと大げさな表現になってしまいますが、イメージしやすい表現にすると、
「自分がこれまで働いてきて、コツコツと貯めたお金」
ということなるでしょうか?
これまでサラリーマンとして働きながら、給料から300万円を貯金して、600万円を「新創業融資」で融資申請するといった場合、この300万円はまず間違いなく自己資金と認められます。
これは理想的な形で、こういうお金が自己資金と認められるといったことはお分かりいただけると思います。
ただこの表現は大げさなものなので、自分の貯金以外は自己資金にならないというわけではありません。
では、残念ながら今現在まったく貯金がなく、それでもどうしても600万円の融資を受けたいので、自己資金として300万円を「一時的にどこからか借りて」用意した場合、この300万円は自己資金と認められるのでしょうか?
消費者金融などを回れば数百万円のお金を一時的に用意することは、さほど難しいものではありません。たとえ借りてきたものだとしても、一時的には自分のお金ですから、自己資金と呼べそうな気もします。実際、わたしに相談するまではそう考えている方がかなり多いのです。
しかし、この場合は自己資金と認められず、国民生活金融公庫の審査は通りません。
思い出してください。
国民生活金融公庫は自己資金を「返済不要のお金」と考えているのです。
消費者金融から借りたお金は、すぐ返済を開始する義務が出てきます。
それでは事業の基盤を崩壊しかねません。
返済不要の自己資金が少なくとも3分の1は入っていることが、事業の基盤を安定させるという考えを国民生活金融公庫は持っているのです。
あるとき、国民生活金融公庫の方に聞いたところ、「事業を開始するときに借入額が多いと返済する額も当然多くなるので、事業開始後の経営を考えた場合、3分の1にとらわれずに、できるだけ自己資金を用意していただいたほうがいいです」と言っていました。
ですので、一時的に借りてきたお金は「新創業融資制度」における自己資金と認められない可能性大ということになります。
返済不要の自己資金が少なくとも3分の1は入っていることが、事業の基盤を安定させるなんて、どういう根拠で言ってるんだ!などと文句を言ってみてもダメですよ。
貸す側と借りる側では、基本的に貸す側が強いのですから。
ただ面白いもので、返済能力があると分かった時点で立場が逆転します。
こうなると、今度は「借りてくれ」と言い出すんです。
面白いですよね。
話が逸れたので元に戻しましょう。
一時的に借りてきたお金は「新創業融資制度」における自己資金と認められない可能性大ということですが、これをどうやって確認するんだと疑問に思うかもしれません。
実は、審査にあたっては申請者個人の通帳を持参させられるのです。
つまり、自己資金を貯めてきた過程が分かる通帳の持参を求められるのです。
融資申請の直前に突然数百万円の入金が記帳されていると、「一時的にどこかからか借りてきたお金ではないか?」と疑われる可能性が高くなります。
もちろん、「今までずっとタンス貯金をしていたんだ。今回そのお金を入金してきたんだ」と主張することは自由です。場合によっては認められることもあります。
しかし、認められることはごくまれなケースです。
ほとんどの場合は認められないでしょう。
というのも、融資をするかしないかということは、金融機関側の自由裁量だからです。
先ほどもちょっといいましたように、貸す側が強いということです。
ですから、「自分は本当にタンス預金をしていたんだ。」と主張してみても、ダメなときはダメなのです。疑われるような状況を作り出してしまった自分が悪いと考えるしかありません。
融資の審査の主導権は金融機関側にある
これを肝に銘じておいてください。
→「なぜ自己資金が重視されるのか?」に戻る
→「業種経験はできるだけアピールする」に進む
わたしの経験上、事情は様々ですが、本当に自分のお金を銀行に預けずにタンス預金として数百万円の現金を持ってらっしゃる方が実は結構います。
そんな方はどうしたらいいのか?
また、分かりづらいケースとして、「親からの援助」は自己資金といえるのか?という話もあります。
このほか、会社を立ち上げて申請する場合の自己資金とは何を指すのか?融資申請を考えた場合に会社を立ち上げるときに注意すべきことはあるのか?
などといった話は、ご相談していただいた上で、個々のケースに合わせてアドバイスいたします。
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